2019年2月20日(水)開催の『ヒーコスペシャルトークパーティー!SNS
勉強になったポイントと考察をまとめましたので、ご覧ください。
目次
第1部のテーマ:「写真と仕事」
- co1さん([Tw]@co1)
- 斎藤朱門さん([Tw]@shumonphoto/[IG]@shumonphotography)
- すーさん([Tw]@iamnildotcom)
- 松野正也([Tw]@maznode)※ファシリテーター
写真との向き合い方
▼写真を始めたきっかけ
- co1さん:カメラマニアから始まり写真撮影の深みにはまる
- 斎藤さん:アメリカ生活時代にアートフェアで飾られていた写真に感銘を受けた
- すーさん:元々漫画家志望。制作会社で働く中で撮影班に配属された
▼何のために写真を撮っているのか
- co1さん:自分の気持ちをアウトプットするため(悲しい時/嬉しい時など)
- 斎藤さん:自分が感銘を受けたものを伝えたい
- すーさん:おしゃれ/綺麗なデザイン・配置を写真に落とし込みたい
上記のように、写真を始めたきっかけや、撮影するモチベーションは三者三様。
その中には「売れるため」という直接的なものではなく、あくまで自分が楽しみ、満足したいというモチベーションが感じられました。
写真を仕事にしたいか
「写真を仕事にしたいか」という問いに対して、co1さんは「したくない。」とはっきり回答されていたのが印象的でした。
自分の撮りたくない写真をビジネスのために撮りたくない。というのは確かに写真を仕事にしていく上で必ずぶつかるであろう葛藤ですね。
一方、斎藤さんは「副業として続けたい」。
本業の収入の方が多い状況のため、あくまで自分らしさを貫きつつ作品を出し、その自分らしさを気に入ってくれた人に買って欲しいとのこと。
考え方は異なるものの、仕事としての写真を考える上で浮かび上がった懸念は下記の2つです。
- 気の進まない写真も撮らなければいけない懸念
- 自分のクリエイティビティをコントロールできなくなる懸念
写真は好きでもあくまで自分らしい写真だけを撮り続けたいという人にとって写真は趣味の範囲に留めたいところですが、朱門さんのように、自分らしく撮り続ける前提の上で熱狂的なファンがついたり依頼が来たりするのであれば、写真で仕事するというスタンスもあるのですね。
「おじさん」を飼い慣らせ!
アマナイメージズのクリエイティブディレクターである松野さんによると、仕事を依頼する立場からして「一緒に仕事をしたい」と思える人は、自分の中の「おじさん」のレベルが高い人に多いそうです。
「おじさん」というのは、自分の意識に存在する内なる声。
co1さんの中にも「おじさん」が生息しているようで、依頼された仕事でアウトプットしようとしている作品などに対していちいち「本当にこれを世に出してしまうのか」「〜がいまいちじゃないか/直した方がいいんじゃないか」などと告げ口をしてくるみたいです。年齢や経験、美意識の変化に応じて告げ口の内容もレベルアップしてくるようです。
すーさんも仕事では、「おじさん」を黙らせてから作品をアウトプットするとのこと。
クライアントワークとして写真を出す時、受け取った要望や意向に対して忠実な作品を出すことが重要になります。
批判的な意見ばかりぶつけてくる「おじさん」と向き合い議論して、相互で高め合う(?)中でアウトプットの質も高まってくるわけです。
「写真と仕事」を考える時、「おじさん」の存在は重要ですね。
「おじさん」を住まわせ飼いならしていくことで、仕事面で求められる写真家に近いていけるのでしょう。
第2部のテーマ:「写真家とSNS」
さて、第2部はもう一歩踏み込んだお話でした。
SNS時代において、写真とどうやって向き合っていけば良いのか。
直近のトレンドも踏まえたお話で、この先の展望が思いやられる内容でした。
- 保井崇志さん([Tw]@_tuck4/[IG]@_tuck4)
- 濱田英明さん([Tw]@HamadaHideaki/[IG]@hamadahideaki)
- 黒田明臣さん([Tw]@crypingraphy/[IG]@artratio)※ファシリテーター
SNSの「枠」に留まらない発想が大事
写真は枠によって見え方が変わるというお話が濱田さんからありました。
確かに同じ写真でも、スマホ画面で見るのと、大きなディスプレイで見るのと、紙媒体で見るのと、Tシャツにプリントされるのとでは全然見え方が違いますよね。
(例えば全く「インスタ映え」しないダサい写真でも、Tシャツにプリントされていたら買ってみたくなるかもしれません。)
インスタグラムはあくまで1つの枠であって、1つの最適化対象。
インスタグラムでウケの良い写真といえば「インスタ映え」な写真と言われますが、そればかりに最適化してしまうのは勿体ないですね。
それこそ「(古いけど)ハガキに載ってそうな写真撮ってみよう」だとか、「Tシャツに載ってそうな写真を撮ろう」、「チェキで撮り歩いてみよう」など、インスタ以外で色んな枠を想定して写真を撮ってみるのも発想の幅が広がって面白そうですよね。
「インスタ映え」だけでは生き残れない時代に
前章にも若干通じる話ですが、「インスタ映え」を追求し過ぎるのは良くないという点について、プラットフォームとして見た上でのお話もありました。
保井さんによると、「インスタで簡単にフォロワー伸びる時代は終了している」とのこと。
インスタで有名な写真系アカウントのフォロワー数推移をグラフに表すと、インスタの全盛期こそ急上昇を見せているものの、直近では軒並み下がり傾向にあるようです。
今時右肩上がりに増え続けているのは少数派だとのこと。
インスタグラムは2014年に日本に上陸して以来、「インスタ映え」の流行語ができるほどに破竹の勢いで利用者数を増やしてきましたが、もはや「インスタ映え」だけでは伸び切れなくなる時代が来ているのかもしれません。
ユーザーの、写真を見る目が肥えてきてしまった今、「コンテンツの『本物』の質が重要視される。」保井さんの一言に身が引き締まる思いでした。
フォトグラファーとしての生き様や、なぜその写真を撮ったのか、といったバックグラウンドの部分も重要になってくるでしょう。
収入源は「分散化」の時代?
保井さんの収入源と、全収入に占めるそれぞれの割合をグラフで見せて頂きました。
パッと見た感想は、「収入源多いな!!」(6つか7つくらいあった印象。もっと多いかもしれない。)
企業との長期契約による収入が割合こそ多くを占めていますが、その他でもnoteなど、ご自身の職能を活かした副収入的なものが多かったです。
保井さんも言っていましたが、「収入は分散化している」と。
最近「マルチタグ」という言葉もあったりしますが、サービスの多様化によってマネタイズ手法も多様化しています。
自分のスキルを上手く枝分けするイメージで、上手く収入源を増やして賢く稼げる時代なんだなと改めて実感しました。
枝分けした先でも新たな学びがあったりして、相乗効果もありそうですね。
まとめ〜100万いいねよりも1人の熱狂的なファン〜
写真を実際に収益に繋げて活躍されている方々のお話は、やはり勉強になりました。
全体を俯瞰して思うのは、下記ポイントです。
- 写真との向き合い方は人によって様々
- マネタイズ手法も様々(収入の分散化)
- クオリティは当たり前の時代に(生き様が重要視される時代)
- インスタ依存はもったいない(メディアの「枠」はたくさんある)
インスタグラムを初めとするSNSの流行によって、多くの写真家が日の目を浴びやすくなったように思われます。
ところが全体の話を聞いていて思ったのは、写真で売れている方々ってSNSを利用こそしているものの、活用法や戦略論になるとそこまで関心がなさそうなところです。
そこまでSNS運用に力を入れなくても既に知名度があるというのも確かにそうですが、重要なところはそこではない気がします。
自分なりの写真との向き合い方が一気通貫されていることが根幹にあるからこそ、写真を買ってくれるファンがついてきているのではないでしょうか。
トークショーの中でも何度か言及されましたが、よくよく考えると、100万人にいいねされるよりも自分の写真を買ってくれるファンが1人つけば充分ですよね。
SNS時代だからこそ今一度立ち止まって、写真との向き合い方やSNSとの向き合い方について考えてみましょう。
イベントに関するツイートは下記のハッシュタグでたくさんされていますので、ぜひご覧ください。
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