突如舞い降りた370gの小さな巨人。
フルサイズのミラーレスカメラとして世界最小・最軽量のこのシグマのカメラは、他のメーカーのカメラとは全く違うコンセプト、仕様、外観のデザインとなっています。
SIGMA fpについてのツイートをモーメントにまとめました。
随時追加していきますー⚡️ “SIGMA fp インプレッション”#SIGMAfphttps://t.co/FTYQHEVfbs
— Go Ando / THE GUILD (@goando) October 13, 2019
デザインからもうめちゃくちゃかっこいいですね…。
実際に購入したSIGMA fpとSIGMA 45mm F2.8 DG DNやSIGMA 24-70mm F2.8 DG DNと一緒にさっそく動画を撮ってみました。
とにかく気軽に持ち運べて、写真と動画とをシームレスに楽しめます。
このサイズでフルサイズの動画が撮影可能ってすごいですよね。
カメラ業界に一石を投じたシグマのカメラ”SIGMA fp“の魅力、そのコンセプト、性能について存分に紹介していきます。
目次
SIGMA fpとは
SIGMA fp とはシグマが発表したLマウントのフルサイズミラーレスカメラです。
その名前の由来は”fortissimo pianissimo“の頭文字 “fp“。“fortissimo pianissimo“が意味するのは “非常に強く、非常に弱く“。
このカメラの持つ表現の多様性や、世界最小・最軽量ながら本格的なシネマカメラにまで成りうるシステムの拡張性からこの名称になったのだそう。
今日、カメラ性能のいいスマートフォンが普及し、誰しもが日常の記録やSNSでインスタ映えをするような写真が簡単に高画質な写真が撮れるようになりました。
iPhoneXS
一方、それぞれの目的に合わせて最高クオリティの1枚を撮るにはレンズ交換式のカメラが必要です。
最近はSonyのα7シリーズを筆頭に、フルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラを多くの人が持つようになっています。
Sony α7III
一方、ハリウッドを筆頭とするシネマ(映画)業界の世界では、カメラメーカーやそのマウント、ブランドに制限されずに、撮影監督のスタイル、プロジェクトに応じて、自由自在にカメラ・レンズ・アクセサリーを選択するという柔軟なスタイルが確立されています。
ALEXA LF
それぞれのカテゴリーで性能が高く使いやすいカメラが求められる一方で、動画市場が拡大し、静止画・動画、スマホとデジタルカメラの境界線が無くなりつつあります。
そんな中、シグマはメーカー本位の”売れる“カメラではなく、カメラの本質的な価値について分解をし、再構築しました。
スマホのような携帯性と、静止画と動画とをワンタップで切り替えれるシームレスさ。
最高のクオリティを追求する高性能なフルサイズセンサー。
メーカーに縛られることなく、個人のスタイルに応じて自由自在に拡張できるシステム。
それらの必要な要素を抽出し、再構築されたカメラがこの “SIGMA fp“です。
コンセプト:SIGMA fp
SIGMA fpには3つの開発コンセプトがあります。
この開発コンセプトに沿いながら、このカメラの特徴・スペックを紹介していきます。
Pocketable Full frame / ポケッタブル・フルフレーム
世界最小・最軽量のフルサイズミラーレスカメラ。
幅112.6mm、高さ69.9mm 奥行き45.3mm でパスポートのサイズよりも小さい。
重さは370gと他のカメラを圧倒する軽さ。
Canon EOS RPは132.5 x 85.0 x 70.0 mmで約440gでSIGMA fpの方が一回り小さいです。
サイズ感としてはAPS-C機のSony α6400(120.0 x 66.9 x 59.7mm / 約359g)と同じ程度のサイズでしょうか。
比較:SIGMA fp vs Sony a7III
比較:SIGMA fp vs Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K
Seamless / 本格的で自由な撮影機能
SIGMA fp では本格的な写真と動画どちらもをスイッチの一つの切り替えですぐに撮影することができます。
またそれぞれのモードで、それぞれに最適化したUIに変更され撮影をサポート。
Stillモード (静止画)
- AF : 49点のAFポイントをもつコントラストAF
- 顔/瞳優先AF : 今やスタンダードな瞳AFを搭載
- ISO:常用100~25600 / 拡張6,12,25,50,51200,102400
- ローライトAF機能:-5EVまでの低照度の環境でもAFが動作
- 電子式手振れ補正(EIS):4コマを瞬時に撮影・比較し合成
- HDR撮影:3コマを異なる露出で1度に撮影し合成
- Cinemagraph:雲や水の流れなど写真の一部が動くGIFアニメーションが作成可能
- 14bit:DNG 14bitでの記録が可能
- フォーカスキーピング:ピントが合った輪郭部分を色をつけて表示
Cineモード (動画)
- 12bit Cinema DNG :RAW記録が可能 (12bitでUHD/24fps)
- ダイナミックレンジ:12.5ストップの豊かなダイナミックレンジ
- 4K対応:4K UHDで24,25,30fpsに対応
- ハイスピード撮影:FHDで60,120fpsに対応
- ALL-I記録:効率的なデータの取り扱いが可能
- ディレクターズビューファインダー機能:各メーカーのシネマカメラでの撮影をシミュレーションできる機能
- シャッター角度:映画業界でスタンダードなシャッタースピードの表示
- 波形表示:映像の信号情報を確認可能
- タイムコード対応:「フリーラン(Free Run)」「レックラン(Rec Run)」の二つのタイムコードが選択が可能
- UVC 対応:UVC (USB Video Class) 対応で、ライブストリーミングに最適
- 外部SSD記録:12bit RAWの大容量の撮影が可能
- ATOMOS Open Protocol対応:カメラ側で外部レコーダーの操作が可能
Scalable / 変幻自在の拡張性
本体のボディがミニマムの機能とパーツに抑えることで、ユーザーがシーンや目的に応じて自由自在にその姿を変えることができます。
SIGMAは公式に7つの撮影スタイルを提案しています。
スナップスタイル
SIGMA fp とレンズを装着。
コンパクトさと軽量なシステムが、気軽に携帯することを可能に。
「スマホではこの良さを写しきれない」こんな思いをしなくて済むでしょう。
ポートレートスタイル
ホットシューユニット(付属)を装着して、フラッシュを装着。
さらにハンドグリップを装着しホールディング性を向上。
ポートレートなどの撮影も可能になります。
フィールドスタイル
LCDビューファインダーと望遠レンズ(MC-21経由)を装着。
連写速度が18コマ/秒とかなりの速さなので、スポーツシーンでもその力を発揮してくれそうですね、
カメラが小さすぎてもはやレンズにカメラが付いています。。
シネスタイル
本格的なシネマカメラとしてフルセットアップ
ロッドコンソールを装着し、シネレンズを装着、外部モニターや、外部SSDをセット。
12 bit Cinema DNG対応で本格的な動画撮影が可能になります。
ジンバルスタイル
DJIをはじめ様々なメーカーがジンバルを発売しており、多くの動画クリエイターが使用していると思います。
ジンバルなどを携帯する際は荷物をできるだけコンパクトにしたいはず。
高い動画性能ながらコンパクト&軽量なので、ジンバルでのワンマンオペレーションも機動性抜群で自由自在に快適な撮影が可能です。
ドローンスタイル
その軽量性とコンパクトさからドローンにも容易に積載することができます。
不要な機能やパーツを取り払いミニマムの設計により実現。圧倒的な映像体験をもたらしてくれます。
ストリーミングスタイル
UVC (USB Video Class) に対応しているので、PCにUSB接続することで、ウェブカメラと同じように使用可能。
フルサイズの画質をライブストリーミングで提供でき、Youtuberの方にもオススメです。
ここまで紹介した通り、拡張の自由度がかなり高く、シーンや目的に応じてユーザー本位の自由自在なスタイルでの撮影が可能です。
SIGMA fp アクセサリー
SIGMA fp の魅力は何と言ってもユーザーが自由自在にスタイルを選択できるその拡張性。ユーザーに無限の可能性を与えてくれます。
SIGMAはその拡張性を最大限広げるために、カメラの3D設計データを無料で公開しています。
URL for 3D data
まずはSIGMAが公式で発売しているアクセサリーを紹介していきます。
ホットシューユニット (付属)
取り付け式のホットシューユニットで、フラッシュを装着したり、HDMIケーブルの脱落を防止する機構も備えています。
LCDビューファインダー
カメラの液晶モニターに装着する専用のビューファインダーです。
上の写真は、SIGMA fp にLCDビューファインダーを装着、マウントコンバーターMC-21を経由してSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMを装着しています。
とーます君
このビューファインダーは、主に映画業界で撮影監督がディレクターズビューファインダーの用途でMC-31と一緒に使うようです。
ハンドグリップ
ハンドグリップを取り付けることで、ホールディング性が高まります。
ハンドグリップ (大)
こちらは大型のハンドグリップ。
Sonyのa7IIIシリーズで小指が大きく余ってしまう人は、ノーマルのハンドグリップよりもこちらのハンドグリップ大の方がオススメです。
ベースプレート
映像撮影では一般的な3/8インチネジを取り付けることができます。
3/8インチネジは、映像撮影には定番のリグなどにされています。
また、MC-21の三脚座と下の面の高さを合わせられることができます。
リグ
アクセサリーメーカーのSmallRigからはSIGMA fp専用のリグが発売されています。
本格的な動画撮影をする方ならマストで必要でしょう。
ケーブルレリーズ
カメラのマイク端子に挿入して使用する専用のケーブルレリーズです。
マイク入力のφ3.5mmステレオミニプラグ端子付きなので、レリーズとマイクを併用することができます。
SDカード / SSD
SIGMA fp はワンスロットのSDカードの使用が可能でUHS-IIに対応しています。
写真をメインで撮影する方は、フルサイズの容量でも安心な64GB以上のSDカードがオススメです。
写真に加えて、動画も撮影するという方は、転送速度の早いUHS-IIのSDカードを使用しましょう。
4KのRAW動画(12bit)を撮影するという方は、外部のSSDでの収録が必要となります。
コンパクトながら、容量の大きいSamsungのSSDがオススメです。
SSDをリグやカメラに固定する場合は、クランプなどが必要になります。
バッテリー
予備のバッテリーはいくつか持っておきたいところ。
特に動画を撮影される方は、予備のバッテリーはマストで必要です。
SIGMAから発売されているバッテリーは、Amazonの口コミを見ても「電池の持ちがいい」と評価が高く、価格もかなり安いので、互換品などを買うよりも断然にこちらがオススメです。
充電器セット
上記のSIGMA fp用のバッテリー BP-51専用の充電器セットです。
SIGMA fpはUSB-Cで充電が可能なので、バッテリー単体の充電器セットは別売りとなっています。
バッテリーを何個か持っていて、バッテリーだけで充電したい方は、こちらも購入しておくと効率よく充電できます。
保護フィルター
大事な液晶モニターに傷をつけたくないので、保護フィルターは貼っておきたいところ。
さらに硬度の高いものはこちら。
価格・発売日 : SIGMA fp
発売日: 10月25日(金)
価格: ボディ 198,000円(税込) / キット(ボディ + SIGMA 45mm F2.8 DG DN) 237,600円(税込)
価格については賛否両論があるようですが、個人的には性能というよりもコンセプトに共感して欲しいと思ったので、フルサイズのカメラにしては適当なのかな、と思います。
動画を撮影する人にとっては、4KのRAW動画が撮影できるので破格な値段設定でしょう。
レンズキットのSIGMA 45mm F2.8 DG DNについてはこちらで詳しく紹介しています。

Lマウント用
SIGMA 45mm F2.8 DG DN Lマウント
まとめ
誰もが想像していなかった全く新しいカメラ SIGMA fp。
フィルムカメラが”カメラ1.0“、デジタルカメラが”カメラ2.0“とするならば、今回シグマが発表したカメラは、“カメラ3.0″と呼ぶにふさわしい、まったく新しいカメラ。
多くのメーカーがカメラ2.0のマイナーバージョンアップを(高性能を目指す)しているなか、既存のカメラとは一線を画したコンセプト”デジタルカメラの脱構築“で”カメラ“を再定義。
ユーザーがシーンや目的によって自由自在に使い方を変えられるユーザー本位のカメラ。
それは、動画2.0と呼ばれる動画市場の到来、高性能なスマートフォンの存在、そんな世の中の流れに適合した「撮ること」を再構築した新しい「カメラのありかた」。
シグマがそんな令和時代に出した答え、それが「 SIGMA fp 」です。
SIGMA fp の発売が楽しみですね!
他にも様々なカテゴリー毎にまとめたシグマのレンズを紹介してますのでこちらも参考にしてみてください。

同時に発表されたレンズについてはこちら。

大三元の一角を成す広角レンズ、F1.2の単焦点レンズ、クラシックで高品位なコンパクトなレンズ。どれも面白いレンズばかりです。
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